食品包装のあれこれ
3月 20, 2020

化学的・物理的変質と水分活性など

水分活性は、酸化、褐変、物性変化、変退色、酵素活性など、食品の化学的・物理的変質と微妙に関係しています。ポテトチップは油を含んでいるため、酸化しやすい食品です。水は酸化促進と酸化抑制の2つの作用をもっているため、酸化速度は単分子層吸着水分区から多分子層吸着水分区に移る領域において最も遅くなります。しかし、水分活性が高い領域では酸化促進が優先的となります。褐変には、酵素的褐変と非酵素的褐変があり、非酵素的褐変の中で最も重要なのは、「アミノカルボニル反応」です。アミノカルボニル反応による褐変は、水分活性0.6~0.85の範囲で著しく進行します。食品の物性が水分の影響によって貯蔵中に変化することは経験的によく知られています。乾燥食品の貯蔵中の物性変化は、水分活性が高くなるほど著しくなります。プラスチック包装材料は透湿性をもつため、プラスチック材料で防湿包装する場合は適切な包装設計が必要となります。プラスチックの中で防湿性が良好なものとしては、PEやPPなどのポリオレフィン、PVDCが代表的でが、防湿性が十分でない場合は乾燥剤が併用されます。包装用乾燥剤には各種の化合物が利用されています。代表的なものは、シリカゲル、モンモリロナイト、塩化カルシウム、生石灰の4種類です。シリカゲルは吸水によって潮解や膨潤を起こさないため広く利用されています。モンモリロナイトはシリカアルミナゲルの一種です。シリカゲルと同様に物理的に吸水するため、発熱や潮解性はほとんどなく、極めて安定な乾燥剤です。これらの物理的な吸水を利用した乾燥剤は、環境の相対湿度により最大吸水量が変化するため、使用量の決定には注意が必要である。しかし、適切な包装設計により、乾燥しすぎることなく包装内の相対湿度を一定に保つことができるという利点もあります。塩化カルシウムは発熱と潮解性があるため、通常はゼオライトなどの担体に保持させたものが利用されています。生石灰は安価なため多用されていますが、吸湿に伴う発熱と体積の膨張が著しいので注意が必要です。乾燥食品の包装材料に要求される特性は、まず防湿性ですが、コーヒー、茶類、スナック食品、乳製品、かつお削り節などの酸化の影響を受けやすい食品も多く、防湿性以外に酸素ガスバリア性も要求されます。PVDCはガスバリア性にも優れているため、乾燥食品の包装には適した包材です。アルミ蒸着フィルムも防湿性とガスバリア性に優れており、スナック食品や茶類の包装に多用されています。また、シリカやアルミナ蒸着フィルムも防湿包装に適した包材と言えるでしょう。防湿包装では、繊維や不織布の内側にPEを貼り合わせた材料や孔のあるPEなどの小袋に乾燥剤を詰めたものが使用されています。最近、包装材料に乾燥剤を組み込み、包材自体が吸湿機能をもつものも開発されています。