食品包装のあれこれ
2月 5, 2019

油と包装容器からの漏れ

 油の包装容器を開発する上で考えなければならないのは、酸化の防止だけではありません。油のドロドロした形状を上手く注げるように、つまり漏れないように設計する必要があるのです。油は別の容器に移し替えようとすれば、注ぎ口の周辺にこぼれ出てしまい、容器の外面を汚してしまいます。ただの水がこぼれ出たのなら拭くだけで済みますが、油の場合は拭いても油膜が残ってしまい、そこに微細なゴミが付着します。衛生面でも良い現象とは言えず、これまでも包装材メーカーによって、様々な工夫が施されてきました。しかし長年の研究が実用化に至ることは中々なく、画期的な発明は数例に絞られます。その一つが「ノーモレキャップ」と呼ばれるもので、注ぎ口からこぼれ出た油は容器の外面に達することなくスリット壁に回収され、元に戻されるという仕組みを採用しています。

 油がこぼれ出てしまうのは、油の粘度が水よりも高いからです。粘度は流動に対する摩擦力を意味する変数で、実は水にも存在します。水は低温ほど粘度が高いという性質を有しています。油も低温ほど粘度が高い傾向にあり、ドロドロした油を室温の環境下で取り扱うのは難しいことなんですね。