食品包装のあれこれ

 日本でも油の取り扱いの歴史は古く、室町時代には木の桶に入れて運ばれていたとされています。もちろん密封などされていませんでしたから、油はすぐに酸化していたであろうことは想像に難くないでしょう。しかしその油のほとんどは神社の灯明に用いられたことから、酸化が問題となることはありませんでした。因みに室町時代の油はエノ油でしたが、江戸時代に入るとナタネ油が使用されるようになったといわれています。

 江戸時代の油の取引の基準は重量ではなく容量だったため、利益を上げるために質の良くない油を大量に運搬するのが一般的でした。特に夏季は油が膨張するため、商人にとってはまさに掻き入れ時といったところでしょう。それから時代を経ると、食用油が密封包装されて売られるようになったようです。今では缶、瓶、プラスチック等が容器として用いられていますが、戦前はブリキ缶に詰められるのが主流でした。戦後はブリキ缶と一升瓶とが併用されましたが、徐々に瓶が主流となり、更に時代が下ると、今度はプラスチックが容器の大部分を占めるようになりました。

 実は日本で最初にプラスチックボトルが使われたのも、油関連の内容物(いわゆる洗剤)に対してでした。その後も製油会社がプラスチックボトルの製造をリードし、ポリエチレンボトルの開発に成功したそうです。当初は臭気や通気を防ぐことが出来ませんでしたが、技術の進歩によって現在ではそういった問題もなく利用出来るようになりました。ポリエチレンボトルは半透明なのが特徴で、食用油の容器としてよく目にすることでしょう。一部の消費者が完全透明な容器をリクエストしたため、60年代にはポリカーボネートの容器が使われましたが、その価格の高さから徐々に排除され、最終的にポリ塩化ビニルが取って代わったのでした。